寒卵    島彩可
 
  初東風や家族ゆっくり膨らんで  
  退屈な肉のすみずみ春の蝉
  遅ればせながら一言蕗の薹 
  ぼろぼろの泥棒日記花曇
  紫陽花や誰にも会わぬ日の化粧 
  半月のかたわれ探す回り道
  羽すこし汚して帰る星月夜
  十二月八日マニキュアが乾かない
  十二月斜め前方より飛来
  神様が名乗りをあげて寒卵





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