燃えてゐる
菊田一平
湧きあがるテロの噴煙緋のカンナ
大南風街を駆け出す消防夫
人びとの囲む厄日のカーラジオ
火を噴いてビルが崩るる日の盛り
行く夏をマンハッタンが燃えてゐる
きちきちの鳴いて飛びたつテロの後
またダウンタウンに火の手そぞろ寒
固く結ぶ黄色いリボン露の柵
鎮魂のキャンドル灯す虫の闇
夜や秋のふつと異臭に黙りけり
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