鶯餅    矢羽野智津子
 
   手鏡に裸眼近づけ雪の夜
   床しなふところのありて鬼やらひ
   大嚔して外づらのはがれたり
   草臥れしものを浸して水温む
   どこも尻鶯餅の座りよし
   蓋で飲むポケットウィスキー啄木忌
   梅干して新車の届く日なりけり
   添乗員数へてばかりゐて無月
   裏木戸をしづかに開けて風の盆
   無花果の社宅の庭でありにけり              
   
      


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