白蝶     
川田由美子

夜の親しさ寝息は白蝶群るるほど
祈る背のやわらかき闇春りんどう
気疎さに水草に刃の微熱ある
夏燕銀の鎖の撓む朝
片陰や母うっすりと流れる
蓼もみじ喉元遙(よう)と染めてゆく
身に入むやてのひら花のやさしさに
冬の園人影蒼きベールのように
枇杷の花朝日しずかなる和音
嚔して花びらのよう鎮もれり


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