豆の木みちのく吟行 楠田よはんな
十月中旬、紅葉美しからむ陸奥へと一泊吟行に出発した。参加者は、大石雄鬼、岡田由季、こしのゆみこ、齋藤朝比古、中嶋憲武、矢羽野智津子、吉田悦花、楠田よはんな。
秋葉原バスステーションを出て一時間後、矢羽野さんのかばんから魔法のごとく短冊が出てきた。宿につくまでは、ひたすら作句しつづけて、句会は作並温泉の宿にてということに。熟睡しているようで、実は着々と句ができている御仁もいて油断ならない。初参加の私(よはんな)は、秋なのに汗だくである。
さて、旅程報告も織り込んで、ここからは句会報告。
<作並温泉到着後第一句会>
浄土平の霧を曲がってゆく男 由季
雄鬼、悦花、智津子が特選。この日浄土平は霧また霧で危険なくらい。近くの丘に登る予定も中止に。高山植物に霜がおりていた。
山霧深し首くくと鳴るこけし 悦花
由季、憲武、よはんながとった。みちのくと言えばこけしである。「くくと鳴る」が恐しいとゆみこは本当におびえている風。
泡立草しゃがんでみたり笑ったり 憲武
智津子、よはんな選。バスからは数限りない泡立草が見えた。ものすごい勢力。迫力ある黄色。
栃の実の上機嫌のバスにあたる ゆみこ
由季特選。この日の感じが実によくでている。ガイドさんがとっても元気な方で楽しかったし。
<第二句会>
長き夜の背凭れとなる金庫かな 朝比古
由季、悦花、よはんなが特選。ゆみこ並選。宿の部屋に金庫があって、誰かがよりかかって作句していた。その時宜の句。軽妙。
虫しぐれ平ら平らに指揮する掌 智津子
憲武、雄鬼が特選。朝比古が並選。虫しぐれがどうかという議論。「平ら平らに」は感じがでていると好評だった。
<第三句会は袋回し>
どんどん回る袋回し。「近畿日本ツーリスト」なんて題出したの誰?
かなかなや押しつけられし黒子役 よはんな
朝比古、由季がとった。題「黒子」はこの日レストランシアターで見た手品師に影響を受けているか?
<翌日バス内句会>
翌日はお目当ての山寺行きである。芭蕉ゆかりの地。曽良像の頭を撫でて記念撮影し、苦行階段のぼりへ。
弥陀洞にゴム手袋の凍りをり 雄鬼
帰京バス内句会高点句。ゆみこ、憲武が特選。悦花、智津子は並選。山寺(立石寺)での実景。聖なるものとゴム手袋の対比がおもしろい。
秋葉原にて解散。また行きましょうね、楽しかったです。
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