北へ置く             
   中嶋憲武    

大年や古墳のやうな膝小僧
一山の頭を掴み鷲のこゑ
白鳥呼ぶ母へ死神来はせぬか
レタス剥ぐ子の双手ハートのかたち
花降れり重たき頭北へ置く
鍵差して家生き返る春の星
夏手袋透きて暗礁のやうな秘書
ひと恋ひて梨のいろなる月のぼり
銀杏ちるちるそれぞれの位置に猫
母逝きて小さじ二分の一の秋


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