陽炎猫町             
吉川真実    

寒卵ランプ灯すように圧す 
父さんと呼ぶ速さにて雪降れり 
明日は冬驢馬の尻尾を手綱とす
水晶の中心におり風邪の夜
風花を時の砂鉄と思いけり 
陽炎が少年となる猫の町
万緑は尖りたがりて我は病む 
無声映画の人の匂いす蛍の夜
白桔梗無音の街に迷い込む
実むらさき会う人々に湖ありて


豆の木no.4indexへトップページへ
inserted by FC2 system