囀りや再婚相手を想像中
さよならも言わずに消えた春ショール
夏谷 胡桃
水温むいい人ばかりの日曜日
お水取り終わったはずの遠距離恋愛
宮本 佳代乃
立春大吉太巻からたまご
花ミモザ満ちて場外馬券場
矢羽野智津子
太平洋側に住み慣れ春の雪
唾の手の鉄棒熱き二月かな
吉田悦花
下校児の紙工作ひらひら日永
まなじりのほとほと疲れさくら餠
殖栗 歩
佃煮は奈落の暗さ春の月
足跡をかき消すやうに汐干狩
上野葉月
シクラメン私不埒な高校教師
烏山肛門科クリニックああ俳句のようだ
太田 うさぎ
寒明けや目を遣るところ鳥のゐて
近づけば揺れて二月の夜の水
岡田由季
ふらここを歪め打ち明け話かな
北側の窓のぼんやり目刺焼く