◇◆◇◆9月の競作◇◆

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月野ぽぽな
昼寝覚めあとからあとからぺーズリー
花柄を見せ合っている水遊び



峠谷 清広
白芙蓉歌の上手な前座歌手
晩夏光男の背中に白い音



とみた土筆
角を折れ肩落とす夫秋の蝉
稲妻や髪に睫毛に頬濡らす



中嶋憲武
未来とは遠き一瞬夜の蝉
雷のまだ鳴つてゐる房事あと



西原天気
風ぼおと海を濡らせば明石かな
飼うならばインコ未来はうるわしく



前野子壱
八朔の松島火力発電所
猿酒や駐車場の「空きあります」



矢羽野智津子
新涼や皺にならない旅パンツ
夜の秋定規に厚さありにけり



吉田悦花
ゆく夏の浮力となりしふくらはぎ
老犬の吠え声太し秋はじめ



井上広美
絵葉書に三行綴り秋の雨
日傘くるりと紙芝居のような真昼



上野葉月
椋鳥の口小さくて初デート
撫子の今も昔も咲きにけり



太田うさぎ
新涼や睫毛きつちり巻き上げて
秋暑し鳥居の奥の蛇の神


岡田由季
足跡をほんのり残す海月たち
成長の落ち着きし犬秋はじめ


河口夏実
おみくじを結び小粒の柿実る
幾つもの川越え背高泡立草


こしのゆみこ
朝顔の顔でふりむくブルドッグ
向日葵の五人のごとく立ち上がる



小林 檀

わだつみの歌を巻き込む台風眼
満月の蓋へこぼるる金平糖



齋藤 朝比古
ロッテリアマツモトキヨシ水打てり
ふるさとの畳の上の素足かな



高橋洋子
棚つるよ 犬もらってよ 大花野
哉々子さん唄いはじめる草の絮





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