◇◆◇◆11月の競作◇◆

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前野子壱
古酒や下縁ゆがむ月の蝕 
切り口のなきシュークリーム男郎花



宮本佳世乃
体育の日赤の記憶を引きにけり
冬瓜や家計簿のなき事実婚



矢羽野智津子
立ち止まる人につまづき秋深む
小鳥来るホットラインのやうにかな



吉田悦花
走り蕎麦七歳下のをとこかな   
かたくなな個人情報栗を食む



井上広美
あられ二粒ころがって行く秋
アンテナをふわりたたんで冬に入る



上野葉月
冬隣「チャーリーさん」の背は硬く
自転車で初冬の人に会いに行く 



太田うさぎ
鬼の子に何か耳毛のやうな毛が
鮭缶の骨のくづれて冬隣



岡田由季
ざらざらの方が表の秋日差    
十月の線路抱きしモノレール


河口夏実
山道に十一月の実りかな
水の湧く水をのぞいて十一月


こしのゆみこ
横町にポストあるはず結氷期
寒卵ポリプロピレンの音の中



齋藤 朝比古
すべすべと十一月の雨あがる
電球を替へる爪立ち冬めけり



高橋洋子
鰰とハモニカ父の忘れもの
神無月歯肉腫らしていたりけり



田島 健一
グリコ横取り僕の横ふかい霧
あおぞらを離れ紅葉のなか軍事



月野ぽぽな
銀紙のようなビルあり星月夜
錠剤を鳴らして帰る十三夜



峠谷 清広
竜胆や礼儀正しくキスされて
君の目の別れの予感杜鵑草



中嶋憲武
銭湯のぽこんかつんとはつしぐれ
秋の蚊帳ひよつこり起きて胡座かく



西原天気
盲牌がざらりカーテン越しの月
こめかみに鵙鳴く玉突屋の婆ア




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