◇◆◇◆6月の競作◇◆

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吉田悦花
ゆきずりの人と鳥越祭かな
昼酒の効いてくるころ合歓の花



上野葉月
階段に話す二人や椎の花
肌色の卯の花句腐し鉄の橋



大石雄鬼
ハモニカに映りて滝のやうになる
尻の穴わづかにずれて槐咲く



岡田由季

昼寝覚色素の少し抜けてをり
真つ暗な海を見てゐるビールかな



加茂樹
胎児写す画像の荒し木の芽雨
はつなつの睡りさそへる翡翠かな



こしのゆみこ
よだれおちる寸前に覚めアマリリス
アマリリスよりおしゃべりの舟に乗る



さいばら天気
世界は毎日おなじトム・ジョーンズの裸の首
生きていくかたちにシャツを脱いで置く



齋藤 朝比古
すこしづつ星ふえてきしハンモック
うつくしく屈める高さ著莪の花



高橋洋子
オダギリジョーいろあせること滝の音
帽子屋のつくった帽子ラムネ抜く



月野ぽぽな

居残りの教室のよう青鬼灯
ブラインド引くや劇中劇に虹



峠谷清広
麦秋や少年辞書の中歩く
寒い夏コンクリートは親不孝



宮本佳世乃
ヒンズーの山の滴りまでひとり
寂しくてみなさびしくて夜濯ぎす



矢羽野智津子
東京市でくくる園記や樟若葉
ビーカーに海を掬ゐて夏来る



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