◇◆◇◆12月の競作◇◆

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上野葉月
亀に似た石ひとつあり秋の庭
蕎麦の花胸の小さな高校生



大石雄鬼
狩猟期の子のいつまでも生乾き
腕組みの腕のみじかし降誕祭



岡田由季
試し書きの線くるくると冬近し
切手貼る余白を残し年詰まる   



川田由美子
自我という鈍色(にびいろ)の湖木の実降る
まばたきのかさこそとして冬菜食ぶ



河口夏実
あかちゃんに履かす靴下けさの雪
霜の夜や薬缶をつつむコンロの火



こしのゆみこ
白鳥の乱雑にあるぼくの池
じれったい指がきつねとなって鳴く



齋藤朝比古
くしやくしやのアルミホイルや聖夜劇
レコードを拭きしスエード十二月



高橋洋子

めじるしのペコちゃんさがす十二月
するすると双子産む夢ふゆごもり



月野ぽぽな

素肌にセーターコンプレックスかもしれない
テレビ今討ち入りらしい蕪を煮る



峠谷清広
父母に猫の寝顔も冬ぬくし
ふるさとの父母猫と忘年会



中村 安伸
天体であれいもうとも綿虫も

文献になき綿虫の航路かな



日高 玲
空気銃クリオネに手を引かれそう  
駅頭にラガーの一団ブロッコリ 



前野子壱
売船の表示冬晴れ白マスト
冬靴響くUボートに似たる影



宮本佳世乃
仏教と神道けふは桜鍋
枯木星穴掘る人を覗きけり



矢羽野智津子
木枯にファスナーの音ありにけり
修験山味噌を寝かせて冬支度



吉田悦花
冬近し犬の噛みたる縫ひぐるみ
鳴りさうなゆるき巻き髪冬ぬくし



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