高橋洋子
青葡萄それからずんずん歩いた
はんかちーふ薔薇のちらばるハンカチーフ
月野ぽぽな
うしろから派手な鼻歌砂日傘
サングラス心遅れてしまう日の
峠谷清広
Ｔシャツで芝生転がる君が好き
好きでしたあなたの汗は水でした
前野子壱
末細めたる唇しめり半夏生
手を添へて手首反らせり半夏生
矢羽野 智津子
空梅雨や手ぶれのやうな空の色
日向水遅刻のやうなぬるさかな
吉田悦花
交番の更地三角緑雨かな
くりかへす祭囃子よ校正中
上野葉月
縫ひ子皆マーガレットの花が好き
テーブルにハンカチのある麦の秋
大石雄鬼
燕来てテニスボールの生々し
心臓のなにやら遠し草茂る
岡田由季
揚羽蝶悪路を台車を押してゆく
罫線を見てゐるうちに金魚草
こしのゆみこ
緑の夜鍵開けてゆく管理人
仕事柄蜻蛉の中に立ちにけり
齋藤朝比古
滴りのむかしの水でありにけり
痛きまで引つぱりて結ふ祭髪