◇◆◇4月の競作◇◆

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宮本佳世乃
春昼を集めてコインランドリー
夜桜の団地の奥に伸びてをり



矢羽野智津子
本当はどうでもよくて春火鉢
春分の卓にポン酢の置かれけり



吉田悦花
満開のさくらあわ立つまひるかな
かへりみし傍聴席の春の闇



上野葉月

バカになる一方である鳥曇
野を焼いて首より下も我が身なり



大石雄鬼
凧出でて林小さくなりにけり
猫の子の演習林に生まれたり



岡田由季

妹的性格であるフリージア
こでまりのとなりにありしおおでまり



河口夏実
帰り道ふらここあれば漕いでゆく
春満月煙草は灰になりながら



菊田一平

ゐるひとのゐない桜の花が咲く
猛禽の眼と思ふ桜鯛



こしのゆみこ
桃咲いてぼおんぼおんと人眠る
縁側の広くなりたる春の月



近恵

倦怠期畳み鰯の目を数ふ
ポケットにバナナチップス春の山



齋藤朝比古

靴下は最後に干して豆の花
七色に疲れてゐたり石鹸玉



高橋洋子
求人欄ぼんやりながめ独活浸す
桜の木ほうぼうを探していたり



月野ぽぽな
春愁の踵に何かついてます
フロイトの椅子麗らかに便意来る



星 力馬
早蕨や忘るることは息すること
皮膚と言ひ肌と言ひ春土匂ふ




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