◇◆◇7月の競作◇◆

感想は掲示板にどうぞ。





こしのゆみこ
心臓の弱さあらわに水海月
Tシャツの羽の古びて羽ばたけり



近恵

心音の鼓膜を叩くまで潜る
蛍の夜椅子あたためておきました



齋藤朝比古

ひまはりの内部情報漏れてをり
星合やかすかに揺れてゐる音叉



高橋洋子
金魚すくひ雑草みたいな本気
弟のとうもろこしのほうが多い



峠谷清広
思い切り殴ってみたい夏野かな
ラブシーンが似合わぬ夫婦冷奴



中嶋憲武
神代より男の弱し青林檎
歯を当てて純潔汚すさくらんぼ



月野ぽぽな
蜉蝣はゆるく感電くりかえす
夕暮れは水の重さの濃紫陽花



星 力馬
カッターの刃こぼれしたり夕立雲
緑蔭の車庫へ117クーペ



前野子壱
絵扇やかなめのひとの眠りゐる
会議室へ香水我を追ひ越して



吉田悦花
白南風やよく噛んでゐる雑穀米
死神へよぢのぼりたる蟻ひとつ



吉野秀彦
園児らの小さな蛇行額の花
梅残すいささか懺悔すべき身で



矢羽野智津子
帰り来て足首洗ふ蛍狩
トマト熟れ名刺なかなか出てこない



遠藤 治
白南風や二十世紀の脚線美  
袋から顔を出したる夕薄暑



岡田由季

ハコ乗りの犬連れてゆく夏の海 
かたつむりガス検針の顔寄せる



●トップページに戻る●

inserted by FC2 system