齋藤朝比古
畳目を我が身につけてゐる帰省
まなこよく動くよさこい踊かな
高橋洋子
からだ横になってばかりさるすべり
八月のバドミントンの羽根のくる
月野ぽぽな
瞑想の深みに水面夕薄暑
雨蛙夜の入り口やわらかい
峠谷清広
遠花火臍出したまま見る子供
喘ぎつつ坂を上がれば大西日
中嶋憲武
湯上がりの街に揺れゐて薄衣
裾上げて濃紫陽花のにはたづみ
矢羽野智津子
鉄風鈴吊るす接骨医院かな
金魚玉村上春樹が透けてゐる
吉田悦花
空ワイン壜白南風のカフェテラス
アメリカンサンドくづるる大夕焼
吉野秀彦
朝顔の花の先から聞く訃報
猛暑日や涙の捨て場ない葬儀