５月の競作

◇◆◇５月の競作◇◆◇

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高橋洋子
活火山108もある麦の秋
うどんをししゃもをウズラを蝦蛄を喰ふ

月野ぽぽな

つくしんぼ揺れてハミングのむずむず
やる気のないときもあります鯉のぼり

峠谷清広
多部未華子の瞳と躑躅匂ふ空
麦秋や未来にキスする多部未華子

内藤独楽
春暑しキーボードの隙間に埃
夏来る缶蹴り鬼の缶の中

矢羽野智津子
花の夜のバターナイフののつぺらぼう
屋上に手紙の届く竹の秋

吉田悦花
桜東風未だアナログテレビかな　　　　　　
犬抱いてリフトに乗りし若葉山

吉野秀彦

ハナミズキも一緒についてく歌舞伎町
名刹の境内巨大なこいのぼり

上野葉月
雀隠れを外部と思ふ人のをり
初夏の森列車に父のための窓

大石雄鬼
三面鏡に口のまぎれて燕来る
電車扉のゴムのみなぎり春深む

岡田由季
傷心の旅に小さな苗木市
本棚の下段にしやがむ遅日かな

こしのゆみこ
しゃぼん玉はぐれてきたる膝の上
みどりの日猫はしずくのように降り

近恵
蛤の魔法のやうに口を開け
生菓子の乾いてゐたり春の風邪

齋藤朝比古
あふむけにプールに浮いて弥生尽
惜春や鉄腕アトムなら描ける

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