◇◆◇１０月の競作◇◆
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齋藤朝比古
デッサンの白き彫像小鳥来る
蝋燭の芯のくろぐろ秋深し
高橋洋子
煎餅のぺちんぺちんと後の月
おばさんに囲まれている曼珠沙華
月野ぽぽな
竜淵に潜みてビル解体を聴く
よく眠り銀河すみずみまで調弦
内藤独楽
秋灯し猫三匹で話し合ふ
残業の身を横たへる秋黴雨
ねここ
幸福や蜻蛉のたくさん顔へのキャベツ
順番に日記のあおい虹に水
宮本佳世乃
霧はれて明日いちにちお葬式
灯火親しむてのひらのごはん粒
矢羽野智津子
色鳥や毎日歩く哲学者
こんなにもつわものがゐて秋まつり
吉田悦花
濡れてゐる夢のつづきの冷し桃
いつぽんのわれをつらぬくまんじゆしやげ
吉野秀彦
金の穂のところどころに風の渦
苅田道携帯電話を捨ててくる
上野葉月
中秋の名月バトルロワイヤル
鹿垣を結わき此の世の昼下がり
岡田由季
音域の狭いが悩みきりぎりす
猫居れば構ふ色なき風のなか
こしのゆみこ
コーヒーを揺らしておりぬ秋の虹
鳥かごをついとはなれるお月様
近恵
薄紙をひらけば針になる月光
名月や昨日のごはんあたためて
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