◇◆◇11月の競作◇◆

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内藤独楽
揺りかご還る寂しき流星となりて
棟梁の声裏返る冬隣



宮本佳世乃
みづうみよあふるるごとく秋の虹
晴るる日のぽろぽろ紡ぐ晩稲かな



矢羽野智津子
栗まんぢゆう蒸して湖濃くしたる
台風来胸をさぐれる聴診器



吉田悦花
ゆるやかな朝の跳躍草もみぢ
登別温泉の素十三夜



吉野秀彦
憎みたき神が増えたり夜夜の月
福耳の耳たぶ赤し無月かな



上野葉月
やるせない形に育つととろ汁
柿の木に柿の実なっておりにけり


岡田由季
爽やかや木彫りの熊の出来不出来
スランプのどん底鹿に会ひにけり


キヨヒロー
言い訳の西瓜へ眠る冥王星  
階段の唾液の光る秋扇


久保庭陽士
名月や電信柱歩き出し
身をかるく持物かるく秋の旅


こしのゆみこ
芒原むらさき色に明けるなり
逆行のひとり芒の色となり



近恵
手頃なるものを握りて紅葉山
悲しみは剥けぬ銀杏の薄皮



齋藤朝比古

栗拾ひときどき栗の木を仰ぎ
後の月ひとりの幅の跨線橋



高橋洋子
髪をかる拳闘選手ふゆかもめ
白さざんか重たいゆのみ茶碗かな


田島健一
連弾や日の暮れるたび菊育つ
布に白菊つつみて音のない亜細亜





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