◇◆◇10月の競作◇◆

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田島健一

墓を見ているとき茸山きえる
木の実降る町ここのつの郵便局



月野ぽぽな
母性ほどよき葡萄ひとふさ手にのせる
半身はすでに影なり秋の蝶



宮本佳世乃

満月の花園神社にて迷ふ
キツネノカミソリすんすんと過ぐ時間



矢羽野智津子
わが指の鈍でありけり水澄めり
肘つけば机泣くなり新走り



吉田悦花
大鯉の指吸ひにくる九月かな
海越えてとどくつぶやき黒ぶだう



吉野秀彦
秋彼岸菩提寺さまの無精髭
残照はひとりぼっちじゃない安堵



上野葉月
秋簾母の背中の水の音
九月二十六日窓開けにけり



岡田由季
浮力には乗りそこねたり花茗荷
九月の窓好きなかたちの壜並べ



こしのゆみこ
蛇穴に入るときボタンはずしけり
湖の闇とまざりて新酒酌む



古城いつも
松茸を上司とふたりで買ひにけり
働いて柿に楽しみあるばかり



近恵
明日誰か泣く声のして秋つばめ
片側の食はれてゐたる葡萄かな



齊藤朝比古
糸瓜棚力の抜けてゐたりけり
老人のカメラ見せ合ふ花野かな



高橋洋子
草の実の天文台へ少し歩いて
宇宙人のように着地曼珠沙華







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