遠藤治
一月のざつくりと鳥媒花かな
おでこから生まれた人と春隣
岡田由季
万国旗寒九の風に煽られて
悴みて財布のなかの銭蛙
こしのゆみこ
懸垂の手の伸びきって冬うらら
手袋の片方だけがよく話す
近恵
着膨れのなんだか柔らかい身体
先頭のマフラーものすごく長い
齋藤朝比古
黒板を美しくして冬休
空瓶をくぐつてきたる冬日かな
高橋洋子
鬼やらいエモンカケとかカカトとか
ぱれっとに指穴のあり猫の恋
峠谷清広
涙にも老いの匂いや隙間風
母が猫見つけたように冬すみれ
宮本佳世乃
荒星や抗ふ森の咲きさうに
氷柱から川へ棉へ鄙へ倣へ
山岸由佳
寒夕焼白きものからはじまれり
両の手に乗せて兎のおとなしき
吉田悦花
梟のまなざし水のごときかな
ひそやかな句読点星凍てゐたり
吉野秀彦
もうすでに貿易風に宝船
容易くは逃げぬ鳩いる枯野かな
矢羽野智津子
初夢の雪払ひても払ひても
あまりにも空青すぎて悴める
上野葉月
投扇や姉は正しく手招きす
プリキュアに変身しちゃいかんじゃないか
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