こしのゆみこ
縞馬にまぎれこんだる春の雪
宝石をほほにふくみし猫の恋
古城いつも
頭痛薬いつぺんに減り二月尽
丸ければ許されてゐるクローバー
近恵
薬箱の中は静かな春の海
ひなぎくの方へ風吹く一日なり
齋藤朝比古
鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
北窓を開けて文学少女かな
高橋洋子
野あそびのめいめいに散っていくらし
きさらぎのゑのぐをしまふ木箱かな
宮本佳世乃
末黒野や向うの川に鳥来る
うぐひすを分けてまぶしき終はりかな
吉田悦花
切株のあかあかとある二月かな
啓蟄の空のふちより煙かな
吉野秀彦
短冊を喰いちぎる夢久女の忌
恐縮の文字ふとぶとと復縁状
矢羽野智津子
石の上石より丸く雪積もる
草餅や大規模小売地下店舗
上野葉月
ことごとく無風なりけり梅の庭
少年の奥へ奥へと春灯す
遠藤治
雑巾で行こう隅々まで如月
朧夜の鼻のかたちを揃へけり
岡田由季
男性のひとり加はり探梅行
春愁のやがて平行四辺形
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