◇◆◇6 月の競作◇◆

感想は掲 示板にどうぞ。








吉野秀彦
路線図を見ている妻の日永かな
体重計はじっこにある花の宿



矢羽野智津子
球体のどこから夏が始まりぬ
もつたりと風をとどめて朴の花



上野葉月
狐耳もふもふもふとしたい初夏
夏足袋やしかられてから考える



遠藤治
仇討の坂ひらひらと夏帽子
枇杷をとる手頃な二階ありにけり



岡田由季
しやつくりのなかなか止まず菖蒲園
自転車の行きも帰りも鳧の鳴く



こしのゆみこ
潮干狩海は静かにしていたる
暑いので像の後ろにまわるかな



古城いつも
日蝕の間際の天啓夏はじめ
薔薇描けぬ母はいつもの庭仕事



近恵
ほうたるに近付いてゆく膝がしら
旗を振るようにことわられて薄暑



齋藤朝比古
すれ違ふ小さき電車風薫る
夏めくやベンチはなべて水に向き



吉田悦花
長嶋と王の手形よ花は葉に
薔薇の香にすこし邪心のありにけり





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