上野葉月
キャベツ畑より戻りし女医の足洗ふ
蒼朮を焚いて回転しない寿司
遠藤治
少年の疑問符で吊る水着かな
矯正の少女紫陽花まみれかな
岡田由季
蚕豆を茹でつつ次を考へる
隠れ家に飼はれてゐたる目高かな
こしのゆみこ
しらぬまに人よりはみで滝浴びる
衿高くすすっていたる心太
近恵
茄子漬は始終眠っているような
夜鷹鳴く背中を真直ぐに眠る
齋藤朝比古
袋掛脚立にひとりづつ家族
優勝旗厚ぼつたくて梅雨に入る
吉田悦花
雹降つてきし月曜のブラームス
菖蒲田を奔るうすむらさきの風
吉野秀彦
目に青葉口中胃薬梅雨湿り
父の日や窮鼠作らぬ兵法も
矢羽野智津子
半夏生見てゐて兆す揉み返し
約束の百合を探しに向かいけり
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