しまいちろう
春風や羽織の裏の歌麿図
燕とぶ一気に開く袋とじ
吉田悦花
うららかや玉子二個割るフライパン
花吹雪わたしを呼んでゐる誰か
吉野秀彦
長閑けしや右の車窓にスカイツリー
春惜しむ南海フェリーに乗ってより
矢羽野智津子
受取のサインの曲り春の暮
春眠の肩に岸辺のありにけり
上野葉月
虚子の忌や男はダブルブッキング
風除けを解いて珈琲豆に乗る
岡田由季
北鎌倉駅に集まり青き踏む
首里城が門のみの頃囀れリ
こしのゆみこ
風ほどの軽さむぎわらぼうし受く
麦の秋すべては風のレンズ越し
古城いつも
銀の匙磨く働く聖五月
報酬と呼びて哀しき新樹光
近恵
麦踏んで愛されていることにする
金歯限界春光を跳ね返す
齋藤朝比古
腕長くながく使ひて潮干狩
やどかりにたくさんの肘ありにけり
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