吉野秀彦
黒南風やハーモニカ吹きがやって来る
旱梅雨烏天狗のいる寺領
矢羽野智津子
ポーランド映画の後の夏帽子
KITTEビル夕日の帯の夏めくや
上野葉月
錫杖の輪涼し王子八十余
乳輪がでかい土方歳三忌
岡田由季
配色の偏つてゐるお花畑
ラジオから名曲ばかり袋掛
こしのゆみこ
父起きて父の日らしき服を着る
湯舟からあふれるあふれる夏野かな
近恵
穀象の国へ悲しい水を汲む
滝壺の底から生えたような風
齋藤朝比古
ペン先に父の癖あり夏の月
洋菓子に洋酒の薫り夏はじめ
しまいちろう
猫の子のつひに姿の見えぬまま
栗の花静かに走る消防車
高橋 洋子
夏野原かみがぬれたりかわいたり
アマリリス誰も誰かを見ていない
吉田悦花
木村家のあんぱん六つ若楓
みすゞ飴の包み六色四十雀
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