齋藤朝比古
理髪師の鋏いろいろ朝曇
にんげんの房となりけりハンモック
しまいちろう
蛍かごホッパーの絵のぽつかりと
京の西日東京の西日暮里
高橋 洋子
若葉のころ岸辺シローのきこえるよ
撫子はチェーホフの朝の靴下
吉田悦花
万緑へ突き出してゐる裁鋏
庖丁に浅き銘あり夏の雨
吉野秀彦
星涼し亜細亜の臍に装甲車
ファクシミリ光って退職通知明日大暑
矢羽野智津子
四十五階冷し中華の具だくさん
向日葵や私服刑事が立つてゐる
上野葉月
猛禽の森を夕立渡りけり
白シャツの岡本杏里（大）
岡田由季
体質は遺伝と思ふかたつむり
界隈の猫に新顔月見草
こしのゆみこ
孔雀から少しはなれて昼寝かな
虫干しをまたいで父の部屋に行く
古城いつも
十六号線の電飾秋立ちぬ
朝顔のここに咲きたる徹夜明け
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