高橋 洋子
鳥肌たたないか青葡萄のした
蚊帳から蚊帳へ原っぱの入り口
三宅桃子
踊り子は輪から外れて人となる
悪さしてそっと抱える飛蝗かな
吉田悦花
降参とつぶやいてをり遠花火
告白の秋の風鈴鳴りにけり
吉野秀彦
和魂に成れぬ人らし秋の雷
沙悟浄のでんぐり返し秋の雷
矢羽野智津子
立秋や橋を支へる水の音
秋空を知つてゐるらし深海魚
上野葉月
色白の浴衣丸顔巫女で女医
レーシングショーツ残暑の臍に風
岡田由季
大暑かなフリオイグレシアス流れ
凡例にある色全て使ふ虹
こしのゆみこ
敬老の日のおしぼりの列たくさん
おしぼりを脇におきたる良夜かな
齋藤朝比古
葦原の吹かるる音の中にをり
茄子の牛なすに戻りし穴四つ
しまいちろう
秋立つや兄いつまでも平社員
女子寮の静かになりておけら鳴く
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