上野葉月
ニュートンが迂闊に臨む春の月
木蓮の和の真心の座薬かな
岡田由季
春愁のぷちぷちと噛む海ぶだう
三越の紙袋より桜餅
こしのゆみこ
無造作にのぼるしわしわの春の月
鳥帰るつま先立ちはゆれながら
古城いつも
バッファロー音楽室よぎり卒業
春コート脱ぐビストロに女神の絵
月野ぽぽな
大都市のいただき桜より朧
山藤は鈍き痛みのままに咲く
齋藤朝比古
少年のひとり遊びや豆の花
例のもの渡して花の客となる
しまいちろう
ひきがへるアンチ巨人の体制派
眼帯を解く子に聖金曜日の音
高橋 洋子
鳥帰る黒板消しの白いこな
花ゆすらマリオネットに踵かな
吉田悦花
三・一一ミルクの皮膜すくひをり
グラウンド瓦礫置場のまま彼岸
矢羽野智津子
花を待つサラダボールの木目かな
雨雲の上は快晴鳥帰る
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