片岡秀樹
新緑や煙草吸うにも加速感
遠蛙都会の顔が剥げ落ちる
こしのゆみこ
つつじ斜面にひそめるだけひそみ
力いっぱいたんぽぽのわたまみれ
古城いつも
指し値してベネチアマスク聖五月
ダンベルを挙げて降ろして夏兆す
齋藤朝比古
からつぽの鳥の巣箱の鳴つてをり
潮まねき海傾けて歩きをり
しまいちろう
春の雷お子さまランチに旭日旗
車椅子先頭にメーデー始まりぬ
高橋 洋子
五月来るとりつくしまのない五月
金雀枝に黒板の絵に触れないで
月野ぽぽな
恋猫の声と星座と混み合うよ
沼は今いちまいの夢花あかり
吉田悦花
パンダすぐ仰向けになり木の芽風
ボクサーのまなぶたの腫れ春の空
吉野秀彦
花まつりお釈迦さまってちぃちゃいね
また明日童散りゆく遍路寺
矢羽野智津子
花の夜黒眼裸にしてをりぬ
花冷や鳥皮の串太かりし
上野葉月
山門の大きく泰山木の花
菜の花に首より上を忘れをり
岡田由季
焼売の小粒を愛す春うらら
引鶴の空巻き戻しできさうな
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