吉野秀彦
掃除機の車輪がたごと残暑残暑
秋の蝉一族郎党まだ達者
鷲巣正徳
秋雲や水飲み凹む牛の頬
旋盤の金屑きらと秋澄みぬ
石山昼妥
如何に為む鶏頭の此の肌触り
芳賀書店にポルノ山積銀やんま
上野葉月
花白粉こぼれオープンカーの幌
綿の実をあたたかくする空の傷
岡田由季
地芝居に由々しきことの次々と
東京の落語聞きたし鳳仙花
片岡秀樹
カード取扱不可カンナ咲く
花鬱金百も資格を持つ漢
キーヨ先生
彼岸花またもや自分に騙されて
秋暑しテレビで鯨乱闘中
こしのゆみこ
靴紐がほどけるほどける草ひばり
ぎんやんま甘い水しか飲みません
齋藤朝比古
踏切の鳴つておしろい花しぼむ
秋の雲壁を叩いてゆく漢
しまいちろう
踊り子はずーずー弁のフランス人
支那人の隣家を眺む灯涼し
吉田悦花
白南風や一気に四十六階へ
白服の一団とほる金魚坂
矢羽野智津子
ひまはりやある日突然脈がとび
石置きて金魚の墓といふばかり
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