矢羽野智津子
反対の誰もゐなくて春愁
胃のありか探られてをり水温む
吉田悦花
くれなゐの額装の書よ梅ふふむ
早春の余白満ちたる一書かな
吉野秀彦
草餅を作る機械が大威張り
美しき畝の続くや菠薐草
石
山昼妥
春泥に有効期限のあるといふ
晴れたから籍を入れよう雛祭
上野葉月
男子力磨く八百八町春
コンビニにハシム王家の花菜漬
岡田由季
花守の越権行為かもしれず
散文も韻文も書き雨水かな
こしのゆみこ
料峭の玄関に猫が来ている
貝寄風やゆるみやすかりおんぶひも
齋藤朝比古
青空の透きより零れ春の雪
涅槃図にくろがね色の猫ひとつ
しまいちろう
梅林の傾斜に心をただしおり
死なば春ブイヤベースにパン浸す
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