しまいちろう
Tシャツの文字の細さや変声期
落雷の我が首を抱く細き腕
矢羽野智津子
片隅に消火器梅雨の水族館
サングラス不思議な時を共有す
吉田悦花
ひよこ十二羽数へて箱へ夏ゆふべ
十薬に埋れ神田のボタン店
吉野秀彦
結跏趺坐の如来千年新樹光
寺領いま凌霄花は火の色に
石
山昼妥
医師薬剤師金魚に語る驢馬の耳
無精卵忠実に抱く冷蔵庫
上野葉月
滝見茶屋の受付に山羊をつなぐ
噴水はかまってほしいわけじゃない
遠藤治
黒南風やスポンジのない給湯室
はみだせば涼しいことを知つてゐる
岡田由季
念じても曲がらぬスプーン南風
学校もハローワークも日々草
こしのゆみこ
水無月の箱をあけしめして暮らす
甚平が干さるるごとく眠りおり
齋藤朝比古
さまざまの命の果や冷蔵庫
線香の灰の弓なり朝曇
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