吉野秀彦
国中の山河静まる終戦日
駆落は昭和の言葉らんの花
石
山昼妥
あけらぽん種を曝して向日葵は
貝拾ふ無事故の続く夏休み
上野葉月
郵便を届けるやうに滝しぶき
夏の川土嚢の上に和尚さん
こしのゆみこ
箱庭に風やら雲やら置いてゆく
島影が花火かくしていたるかな
岡田由季
蝉鳴いて仏頂面の一塁手
サングラス上方落語聴いてをり
齋藤朝比古
神様の踏ん張つてゐる神輿かな
踏切の音をとほくに立葵
しまいちろう
ラップの詩身に覚えなく夏の雲
ホノルルのバスの長さや草田男忌
矢羽野智津子
甚平の青き金魚が逆さまに
異議申立のごとくに朱のダリア
吉田悦花
短夜やバナナ色なる総武線
星型に射抜かれてゐし枇杷の尻
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