上野葉月
おかもちで届ける心いわし雲
秋雨やビールの瓶が十二本
こしのゆみこ
覚え立てのことばのようにガガンボ来
鼻筋を通して蛇穴に入る
岡田由季
理科室と理科準備室かまどうま
箱庭の贅を究めてゐたるなり
齋藤朝比古
硝子瓶色無き風に鳴つてをり
運動会おほきな匙の出てきたり
しまいちろう
踊り踊て模造の女ら満ち
爪みがく基地の女や花サフラン
矢羽野智津子
敗戦忌雨降る兆しなかりけり
アスファルト灼けて幽霊消えゆけり
吉田悦花
わが胸を打ち続けたり大花火
大花火果つ鳴り止まぬクラクション
吉野秀彦
涼新た今日も息子は行方知れず
秋日和朝礼台に副校長
石
山昼妥
野分後肩を目掛けて打つ切り火
涼新た御座りのまま吠える犬
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