上野葉月
長生きの鳥は良夜を食べてをり
唇で躓く名前秋桜
石
山昼妥
虫時雨サイドブレーキ引いて待つ
四速のエンジンブレーキ星流る
岡田由季
蟋蟀の脚隆々と取れ易し
秋の野を三顧の礼に通ひけり
こしのゆみこ
起き抜けは鶴の姿でありにけり
洗われて間引き菜の根の真っ白き
齋藤朝比古
ハンバーグ破裂して山粧へり
木犀の吹かれて夜の錆び始む
矢羽野智津子
スリッパに右左なく月の宿
卵塔に休みてをりぬ秋の蝶
吉田悦花
大河内傳次郎の眼いなびかり
人差し指より長き薬指黒ぶだう
吉野秀彦
東京が背高泡立草の色
蚯蚓鳴く蛍光灯が切れてしまう
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