石山昼妥
花束に与せぬものに桜かな
回らねば走つてみよと風車
上野葉月
葉桜の並べる幹の老いてをり
郭公はその思ひ出を白くせり
岡田由季
やどかりのやどかるまでの模索かな
豹柄の布をまとひて種案山子
こしのゆみこ
母の日の櫛高々と母の髪
郭公のきこえてきたる眠りかな
齋藤朝比古
紙風船ひとりの口を寄せにけり
A液とB液混ぜてゐて薄暑
しまいちろう
コンビニのやっこ枝豆余生減る
街頭にハグもとめられあたたかし
中内火星
冷えた愛妻弁当五月の毒薬
こどもの日晩のおかずは焼魚
矢羽野智津子
春障子かかと遠くに置いてゐる
鳥雲に橋の修復はじまりぬ
吉田悦花
逃げ水や猫の坐したるアスファルト
遍路笠犬の巻尾をなでてをり
吉野秀彦
ひとりふたり楽器を仕舞う緑の夜
夏兆す人間の子はよくしゃべる
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