吉田悦花
口笛に呼ばれ晩夏の改札口
台所町日ざかりの交差点
吉野秀彦
御神木の葉影に目だま夏鴉
団塊と呼ばれぬ我ら弱冷房
石山昼妥
この家の伝言板も冷蔵庫
ユキユキ乃ゆきゑゆき子と梅を干す
上野葉月
群馬映す全部朝顔のしずく
数体の鍋乙女に浮き袋の名残り
岡田由季
峰雲を背にして立ちぬ試験官
いくつかは鞭毛を持ち夏の星
こしのゆみこ
雷を厚切りトーストにはさむ
白靴の紐結ぼうとぼんやりす
齋藤朝比古
朝曇安全帽に疵数多
はんざきの悠久の口開きけり
中内火星
空蝉ののろのろみんな集まって
空蝉を踏んだのは右足だった
矢羽野智津子
パセリ嫌ひなりその髪のやはらかく
浮世絵のみだらな紅の涼しかり
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