矢羽野智津子
動物園一日一食冬りんご
ハンガーのひとりにひとつしぐれ宿
吉田悦花
秋風や裏も表もある地球
寿司政の赤酢のにほひ冬立てり
吉野秀彦
今生の別れの色とや銀杏落葉
露ほどの光となるや初霙
石山昼妥
天金の聖書に触れて冬に入る
花八手薄き手帳と三十年
上野葉月
低反発クッションとしての葱
物干の見えて稲荷の時雨かな
岡田由季
小鳥来る森永ラブの多き街
かまどうま番外編にすこし出る
こしのゆみこ
しんしんと枯野に雨のゆきわたる
冬空の藍のちらばる水たまり
齋藤朝比古
鯛焼の袋を頬に当ててをり
焼藷の片方重く割れにけり
嵯峨根鈴子
牡蠣啜る夫をとことん遠ざける
筆買ひに師走の橋をあともどり
しまいちろう
昭和史にブラッシーあり玉子酒
黒人に玩ばれし雪女
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