◇◆◇3月の競作◇◆

感想は掲 示板にどうぞ。








齋藤朝比古
姿見の裏の閑けさ春浅し
息入れて紙風船の軽さかな



嵯峨根鈴子
干潟かなチューブ搾ればなまぬるき
芝青む尾骶骨なら骨牌に 



しまいちろう
ふらここや未完のままの詩に似たり
てらてらの黒き乳首や山笑う



矢羽野智津子
音源は水でありけり春来る
家中の闇は動かず春一番



吉田悦花
きさらぎの腹話術師の唇締まり
銀座チョコレート通りへ春ショール



吉野秀彦
夕暮れの光離さず花の兄
 艶やかな通販カタログ春浅し



石山昼妥
霞草足して整ふほどのこと
春日傘回し呼び込む男運



上野葉月
蛤よ貝らしくあれ男なら
春眠の増える地平へはい熟女



岡田由季
春を待つ仮パスワードパスワード
春の闇緩衝材としてありぬ



こしのゆみこ
風やんで蝶をやどしておりにけり
いっせいに椿の落ちる青い空




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