齋藤朝比古
小六月著者近影のみな若し
相談に乗りつつつつく海鼠かな
嵯峨根鈴子
砂時計に閉じ込めて売る虎落笛
水涸るる星々の位置質さんと
しまいちろう
ラフカデイオ・ハーンの正座や冬の滝
岸壁は女性名詞や夕時雨
中内火星
初氷残念そうに割っている
着ぶくれて天ぷらそばに海老がない
矢羽野智津子
山眠りどこの星にも天狗岩
花柊プリンのカップの空気孔
吉田悦花
名画座の金柑いろの叙情かな
新そばを手繰り職業は山伏
吉野秀彦
馬鹿野郎と歌われ東京小春かな
草を結ぶ父の忌さらに一茶の忌
上野葉月
しろたへの妹が葱振る陽だまりの
民事では処理しきれない返り花
岡田由季
コスモスの位置情報を受信する
白菊の傍に体側伸ばしゐる
楠本奇蹄
はつしぐれ行商の脚より暮るる
筋雲や顔のない冬菜になつて
こしのゆみこ
十三夜希釈しすぎてしまいそう
改札は紅葉かつ散るころとなり
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