石山昼妥
蝋燭の消え消え眩し竹の花
乗換へは恋ヶ窪にて桜桃忌
上野葉月
織姫の引力圏に玩具浮く
大斧の倫敦へ秋立ちにけり
岡田由季
熱帯夜ウルトラの星指させり
呟けは涼しくなりしパンダの名
こしのゆみこ
やわらかき言葉まといし夜釣かな
ふだん着に着替えると鳴く青葉木菟
齋藤朝比古
水中に風あるごとく水母かな
思ひ切り手を振ることも夏休
嵯峨根鈴子
夏期講座メス小気味よく滑る肉
おしやべりの尽きせぬギヤマン氷水
しまいちろう
眼鏡の子眼鏡をはづし夕涼み
朝涼のカバンの中の森鴎外
中内火星
糸と思えば海月であって不眠症
裸の男鉄製部品である
矢羽野智津子
階段の砂浜に消ゆ晩夏かな
陶工の糸を濡らして夕蛍
吉野秀彦
水撒きの水の甘さや山鳩来
施餓鬼会に集う百様頭蓋骨
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