吉田悦花
燗の酒犬にも鼾ありにけり
原宿やちぢれてゐたる冬の菊
吉野秀彦
六十進法の世界に冬の蝶
ヘアバンド外すイレブン神渡し
石山昼妥
大菊はまだ早過ぎる枕元
嫌はれて忘れさせまい曼珠沙華
上野葉月
冬の砂降るを計測されてをり
大人の小春日灯り不足の週末
岡田由季
環七も環八も越え冬の蝶
黄落の真只中の納車かな
こしのゆみこ
無意識に鍵を置いたる冬の月
隠沼は田鳧鳴くよう出来ている
齋藤朝比古
地に近く結ぶ靴ひも日短
八本の足収まれる炬燵かな
嵯峨根鈴子
仮縫いの腋に待ち針枇杷の花
風花やとりあへず乾かしてをく
しまいちろう
柿食ひてにやりと笑いしことは何
霜月の骨董通りに由美かおる
矢羽野智津子
茶箪笥に父の湯呑みや年守る
エレベーター乗り継ぐ廊下湯冷来る
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