こしのゆみこ
緑陰の顔洗うたなごころ
使いかけのひまわりのよういじけたる
齋藤朝比古
飛ぶ鳥のとほくに光る薄暑かな
人文字の一点に居る薄暑かな
しまいちろう
枇杷の実や老婆のころぶ映画館
鉄筋の駅舎を下り鬼灯市
中内火星
人間に形があって水がある
己の膜がプールで消える疲労感
矢羽野智津子
水漏れのどこかしてゐる桜桃忌
万緑の中歯と骨の濡れ通し
吉田悦花
カウンターの端つこが好き夏の月
プラネタリウム出で冷やし酒赤い酒
石山昼妥
カレー屋の何処より旨い氷水
香水で判るその日のスケジュール
上野葉月
急行が着かない爪を切る夏至
私のドナルドは二人静が好き
岡田由季
柴犬の進路にゐたるかたつむり
行行子一方的に鳴いてゐる
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