しまいちろう
生命の螺旋階段油照り
分身の術をして後ラムネ飲む
中内火星
革命か恋かドイツ語菊枕
ビール飲み走る現代アート
三宅桃子
ソフトクリームにたいらな舌とプロペラ音
三人が白靴説明過多である
矢羽野智津子
草笛の音色ときどき雨降らす
語りたる黒にんにくのひと粒を
吉田悦花
七月のコップに透かす日の光
白南風や雨の匂ひの相撲部屋
吉野秀彦
眠れない夜旱星の下の西東
断末魔の一声蝉の低く飛ぶ
石山昼妥
取敢へず佐藤と名告るサングラス
悉く圧力鍋に夏期講習
岡田由季
髪洗ふあひだはずつと鬼の顔
七夕の悪い望みも混ぜておく
楠本奇蹄
八月の正中線が痒くなる
朝涼の磁器におさまるゾンターク
こしのゆみこ
ふくら脛のごとく蘭鋳ひるがえる
琉金の汚れはげしきはだらかな
齋藤朝比古
向日葵といふ人望に似たるもの
腹案のひとつにけふの豆御飯
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