石山昼妥
毒あらばクレオパトラの嚙む石榴
夜業果つ主語無き言葉を風に捨つ
上野葉月
肉厚の上腕筋や秋高し
恋の秋生姜に裏があるように
岡田由季
桃届く川を運送経路とし
盆の月青き河馬の名ウィリアム
楠本奇蹄
軟膏に夜が潜んできたか秋
秋夕焼あすは鋏も濡れるでせう
こしのゆみこ
神保町押すと開きし大花野
二十騎町祭半纏ごと濡れる
齋藤朝比古
長き夜を天袋より降ろしけり
体操に始まる工事秋の雲
しまいちろう
母さんのよよひのよひや獺祭忌
口づけに眼鏡を外づし涼新た
中内火星
パイプオルガンのパとプが凭れ合う
おまえたちおれたちもいるすすき原
矢羽野智津子
間引菜に指つることのありにけり
中年の強さおだやか秋袷
吉田悦花
思ひきり狂へ狂へと夏の雲
ふれてゐる鎖骨のくぼみ鳳仙花
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