こしのゆみこ
おむすびのような落款鶴来る
夭折の人の描きし鹿の声
しまいちろう
デモ隊のニュースを見てる文化の日
ジャンパーのエノケン吠えるべらばう奴
中内火星
ノルディは混ぜて冬の紫である
寒紅をつけている人のつくような嘘
三宅桃子
秋の蝿ちいさな罪を肩にのせ
楽隊を前にわたしは胡桃噛む
矢羽野智津子
見た目にはわからぬ乱視蔦もみぢ
くしやみして石器時代の中にゐる
吉田悦花
翁といふそば屋の系図秋澄めり
磨かれし昭和の車そぞろ寒
吉野秀彦
信号のほどよき長さ菊日和
全区民避難勧告蘆の花
石山昼妥
マフラーを半回転し出雲蕎麦
隙間風享くを許さず無菌室
上野葉月
武蔵野に馬頭観音ありぬべし
恋女房の生まれた星の柚餅子かな
岡田由季
色変へぬ松の樹形の苦しさう
天王洲アイルを巡る水の秋
●
トップページに戻る●