上野葉月
みぞれ雨ワルツの如く始まりぬ
目の前の実物大のシクラメン
岡田由季
難波津の浅瀬そろりと宝船
初明り螺髪のなべて右巻きに
楠本奇蹄
前髪に雪雲また鏡がとほい
立春の街は獣医科よりにほふ
こしのゆみこ
舟を出すために白梅咲かせけり
空深く手を差し入れぬ猫柳
齋藤朝比古
墨東の地べたに吹かれ貘の札
暗転の舞台過りて雪女郎
しまいちろう
ユーミンの呉服屋に降る暮雪かな
猫の声ニャーからミャーに日脚伸ぶ
中内火星
待春や真ん中に人形を置く
セーターの方が姉で引っ込み思案
矢羽野智津子
眠れない人からこぼれ竜の玉
葉ぼたんのまはるスイッチありさうな
吉田悦花
百五十の石段下り冬怒濤
冬怒濤ブルーシートの屋根あまた
𠮷野秀彦
白鷺やかつて私娼のいた寒暮
料峭や光となるか白鷺は
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