齋藤朝比古
家族みなどこか湿りて潮干狩
度の合はぬ眼鏡のやうな花疲れ
しまいちろう
春の空不要不急の人に逢ふ
卒業の歌流れない体育館
中内火星
背景を含めモデルに桜ある
春雪や人工呼吸器について
矢羽野智津子
寝に落つる早さありけり春の雪
練習の終はりの笛の月おぼろ
吉田悦花
出雲そばの三段重ね春の虹
挨拶の練習春のメトロノームかな
上野葉月
越南の四月の花に沈む寺
春塵の彼方ファミリーレストラン
岡田由季
電算のむかし穿孔春眠し
内側のちかちかとして恋猫に
こしのゆみこ
姉よりも先に来ていて青き踏む
水音の遠く近くに巣箱かけ
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