◇◆◇5月の競作◇◆

感想は掲 示板にどうぞ。








中内火星
どさくさにまぎれはせずに昭和の日
鳥帰る小切手は不渡りでした



矢羽野智津子
てのひらを広げ潔白春疾風
黄沙来る一円切手余しては



吉田悦花
いつせいにマスクしてゐる令和かな
むづかしいことをやさしく八重桜



吉野秀彦
軟膏もパンも文庫も春愁
疫病の太ゴシックや誕生仏包む



上野葉月

じゃらんポイントで長野筍飯
えごの木にえごの花咲く夕べかな



岡田由季
春愁の凝縮されてナマケモノ
堤防のさくら速度と加速度と



楠本奇蹄
こでまりの花六時の雨が撫でてゆく
大夕焼うまれかはつて郵便受



こしのゆみこ
じゃんけんの声を集めて豆の花
虎が雨後は切手を貼るだけの



齋藤朝比古
とんかつを蒲田に喰うて春惜む
辞世とも世辞とも桜散りにけり



しまいちろう
野茨や神官たちのスクワット
いつ見てもなにも起こらず蟻地獄



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